テスラを公用車にするのは悪なのか?


コラム内容に悩んだが、千葉県市川市でアメリカのTesla(テスラ)社製・電気自動車(モデルS・モデルX)の市長・副市長用公用車への導入が問題に挙げられている件について考えてみました。

【プロフィール】千葉県・市川市長:村越 祐民(むらこし ひろたみ)

生まれ:昭和49年(1974年)2月13日
出身地:千葉県市川市
学 歴:青山学院大学 国際政治経済学部(卒業)
    早稲田大学大学院法学研究科博士課程(千葉県議会議員選挙:当選→中退)
経 歴:千葉県議会議員(半年で辞任→衆議院議員選挙:当選)
    衆議院議員、外務大臣政務官、民間企業顧問
現 職:2018年4月22日~
 
市川市は、東京都江戸川区に隣接しており、人口約50万人規模(県下第3位)、財政力指数が高い。

 

2019年4月に発足した「いちかわ未来創造会議」の取組発表に合わせて導入が公開された。

【いちかわ未来創造会議】

(目的)
産学官の連携を通じ、先進的技術や斬新な発想に基づく既存技術の組み合わせ等を活用することで、社会課題を解決し、便利で暮しやすいまちの実現を図ること
(事業)
(1)先進的技術等の発掘及び育成に関すること。
(2)社会課題の解決に向けた実証実験の推進に関すること。
(3)産学官の連携に関すること。
(4)技術革新を生み出す次世代の人材育成に関すること。
(5)その他前条の目的を達成するために必要な事項に関すること。

 

2019年6月に一般競争入札を行い車両価格:約1,100万円のSUV「モデルX」を副市長用にリース契約を締結。(8月下旬予定の市長用セダン「モデルS」のリース契約締結までは市長が利用するとのこと)

2019年6月27日に市議会へ提出された「導入見直し」を求める決議は以下の通り。

米テスラ社製電気自動車(モデルS・モデルX)の市長・副市長公用車への導入見直しを求める決議

 上記議案を別紙のとおり市川市議会会議規則第14条第1項の規定により提出いたします。 令和元年6月27日 提出者 市議会議員  越川雅史 賛成者 市議会議員  長友正徳 市議会議員  佐直友樹 市議会議員  増田好秀 市議会議員  石原よしのり 米テスラ社製電気自動車(モデルS・モデルX)の市長・副市長公用車への導入見直しを求める決議  本市は、市長と副市長の公用車について、米電気自動車大手テスラ社のセダンとSUVの2台を採用することを決め、そのうち1台については既に一般競争入札を実施し、残る1台についても近く入札を実施する予定と聞き及んでいる。  新聞報道によると、当該2台のうち既に入札が実施された1台(テスラSUV「モデルX」)については、車両価格は約1,100万円、リース月額は現在のトヨタエスティマハイブリッドの月額リース料6万4,000円の2倍超となる13万2,000円(税抜き)とのことであった。  この点本市は、「市長自ら電気自動車を使用し、経営トップが環境負荷軽減策を実践する姿勢を示すことで、完全電気自動車の積極的な利用を啓発し、普及・促進を図る」旨説明しているが、「2倍超の費用」をかけて「外国製」の「高級車」を「2台も導入」する以外にその方法がなかったのか疑問が残る。  また、市民に対しても本市議会に対しても十分な説明もないまま、多くの市川市民にとって馴染みのない外国製高級車両を導入すること自体に抵抗感を感じる者も多く、実際に本市役所にも市民から否定的な意見が数多く寄せられており、本市企画部によるとその割合は「約9割」とのことであった。  地方自治法は第2条第14項において、「地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、( 中略) 最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定しているほか、地方財政法も第4条第1項において、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」旨定めており、本経費の支出はこれらの条項に抵触する可能性を否定できないとの指摘も聞かれるところである。そればかりか、仮に何ら見直しなくこれら車両が導入された場合、今後において住民監査請求や住民訴訟に発展し、「違法な支出」と認定されることも懸念されるところであり、本市議会がかかる状況を傍観することは、「執行機関に対する監視機能の放棄」との誹りを免れないものと強い危機感を覚える次第である。  よって本市議会は、村越祐民市長に対し、米テスラ社製のセダンとSUVの2 台を市長・副市長の公用車として採用することにつき、見直しを求める。  その上で、今後において市長が政策決定、経営判断をするに際しては、目的や効果、意思決定過程の透明化を心掛けるとともに、「必要且つ最少の限度を超えて経費を支出してはならない」点に留意され、市民及び市議会からの幅広い理解を得られるよう丁寧な説明に努めるよう併せて要請するものである。  以上、決議する。 提案理由  米テスラ社製電気自動車(モデルS・モデルX)の市長・副市長公用車への導入見直しを求めるため本決議を提案するものである。

 

賛成:21票、反対:20票と僅差で可決はされたものの、「重く受け止めるが、施政方針に基づく適正な予算執行だ。今後も市民に説明したい。」と述べたと報じられている。そもそも、反対意見と僅差だった点を踏まえると、そこまでの大事では無いように思える。(否定的な意見が9割とされているが、賛成している人がわざわざ賛成と市に意見することは少ないだろうし、それでも多くは無いとは思うが・・・)

本当に不適切だったのだろうか?

もし仮に、この批判を受けることが「計算のうち」だったとしたら、どうなのだろう?実際、待機児童問題では約1年で385人から138人へ(247人減少)とスピード感を持って取り組み、受け皿(施設)だけでなく保育士の待遇改善まで手を入れている。他の首長と比較しても「実行力」や「目標」は高い印象を受ける。

【市議会の指摘は適切だったのだろうか?】

市議会が指摘している「高額」な点については「廉価版・モデル3」や「日産・LEAF」にすれば問題は無かったかもしれないが、「逆に」何の(報道など)印象にも残らなかっただろうし、「最小の経費で最大の効果を」というのであれば、効果は「全くと言ってもいいほど無かった」と推測できる、そもそも、効果検証をする前から効果の有無を論議する時点で本末転倒と思われても仕方がない。(2台目以降はモデル3で十分だと思う)

次に指摘されている「外国製」や「市民に馴染みのない」という点については、電気自動車分野ではテスラ社が世界の最高峰(技術も売上も)であることは、ググれば数分で理解することができる。そういう意味でも、開発が遅れている国産車(現にバッテリーの冷却技術など、価値を左右する点で大きく引き離されている)ではなく「馴染みのない外国製」しか選択肢が無かったのであれば、同情せざるを得ないのでは?と考えれる。

しかしながら、電気自動車に大きな影響を与える「バッテリー(蓄電池)」の基礎技術についてはお家芸みたいなもので、日本は世界でも最先端技術を数多く保有しており、一部の電子機器には新技術(全個体電池など)が織り込まれ始めている、だが、国内外に限らず「自動車分野」においては後手を踏んでおり、トップメーカーと(ノウハウの吸収・構築など)手を組むのも不自然ではない、それくらい、日本が遅れているだけである。

【(2019年度)市川市の施政方針】

東京オリンピックが終わった後の景気減速に耐えられる、持続可能なまちへが基本方針 ※()内は筆者コメント
・循環型社会で地球環境に貢献(電力では太陽光発電などの再エネ自家発電と大型バッテリーによる蓄電が基本)
・情報技術の活用による業務革新(テスラは最先端テクノロジーの集合体で常時アップデートも)
・将来を見据えたまちづくり(改革の遅さを嫌う子育て世代や若年層を引き込む革新的・文化的な施策)
・国内外への情報発信(13万円では今回規模のPRは難しく、現状、テスラの保有が世界的にシンボルである)

 

(関東では放送されてないが)2019年6月30日放送分『「そこまで言って委員会NP」G20大阪サミット開催記念!1位と2位を当てまSHOW!』において、主に小泉政権時に経済・金融のスペシャリストとして活躍する竹中平蔵氏は番組内のVTR出演で「先進工業国である約30国のうち、1人当たりの名目GDPで日本は25位前後と低く、規制緩和(改革)が遅く成長しないので地位を下げてしまっている」との指摘。(昔から言われていることだが)

アメリカのフロリダ州では、自動車側が対応する前に「無人運転の合法化」に州知事がサインし有効に・・・、自動車メーカーも国・自治体も5馬身差くらいあるような感覚に陥る。

「少子高齢化による人口減少」+「生産性(1人当たりの稼ぐ力)の低下(世界に比べ効率的ではない)」は、国家財政を破綻(デフォルト)させる要因であり、老後資金どころか年金もままにならず、生活水準がかなり、落ちてしまうリスクがあると警告している。今のままでは、20~30年後にはそうなってもおかしくはない。

最後に・・・

今回、この問題を生んだ、根本的な問題は「匹敵する国産車が無かったこと」その1点に尽きる、他にも高額な公用車はある「FCV(燃料電池自動車)」は、車両以外に「水素スタンド」も数億円の投資が必要になり、税金が投入されている、一方、CHAdeMO(日本メインの充電規格)でも、テスラのスーパーチャージャーレベルを普及することは、現状、出来ていない。業界全体として、今回の1件を「たった1人の首長が税金を使い込んだ」で済ませてはならない。乗りたいからだけで、(立場上)選べる訳ではない、選ばれないことには、理由が必ず存在する。それは、一般顧客でも同じ事と思う。


 

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