【レポート】地域再生可能エネルギー国際会議2017(2017年9月7日~8日 @長野市)


それでは、今回の議論内容に参りましょう。

『低炭素社会に向けたエネルギー自立地域の創出とネットワーク』

背景

2011年3月の福島原子力発電所の事故以来、日本のエネルギーシステムが既存電力会社による集中型でなおかつ、燃料となる化石燃料や核燃料の供給のほぼ全てを国外に依存してきましたが、パリ協定批准より温出効果ガス排出量の削減による低炭素社会の実現を公約しました。
再生可能エネルギーの普及は、地域経済の活性化や少子高齢化などの社会問題を解決に貢献できると期待され、さらなる普及と移行には、地方自治体の役割が重要になってきます。


 

今回の会議では、以下のテーマについて議論を行いました。

  • 地域で所有する再生可能エネルギー供給システムの構築に関する優良事例
  • 地域レベルで再生可能エネルギーを活用した、低炭素社会への移行
  • 再生可能エネルギーと省エネルギーを推進するための施策や取組に関する最新動向
  • 低炭素な社会づくりにおける課題や機会
  • 日本におけるエネルギー自立地域づくりと有力なエネルギー源

 

会議スケジュール

【9月7日】

  • 9:30 – 9:50    開会挨拶
  • 9:50 – 10:20    基調講演『再生可能エネルギー及び省エネルギーを巡るドイツ及び世界の動向』
  • 10:40 – 12:00    パラレルセッション1
                  A:地域再生可能エネルギーの役割
                  B:市民電力・市民参加による取組
  • 13:00 – 14:00   先進自治体からの発表
  • 14:10 – 15:30   パラレルセッション2
                  A:太陽光発電の発展の余地
                  B:地域と調和した再生可能エネルギーの発展(風力、バイオマス等)
  • 15:40 – 17:00   パラレルセッション3
                  A:地域の取り組みを加速するネットワークのちから
                  B:再生可能エネルギー・省エネルギーの地域経済効果

【9月8日】

  • 9:00 – 9:30   各セッションからの成果報告
  • 9:30 – 11:15   首長サミット『再生可能エネルギー100%地域を目指して』
  • 11:15 – 11:30   会議取りまとめ・閉会

 

開会挨拶

  • 阿部 守一 長野県知事
  • 森下 哲  環境省 地球環境局長
  • ジェシカ・ズプリー ドイツ連邦環境省 政策担当
  • ディーター・ザロモン フライブルグ市長(ICLEI)
  • 濱田 州博 信州大学学長
ポイント
  • パリ協定発効による低炭素社会へのシフト(地球環境の保全)
    ※環境省では、2013年度比で2030年までに26%、2050年までに80%の温室効果ガス排出量削減を目標
  • エネルギーを始めとした経済の地域内循環促進(富の流出防止)
  • 地域の自立と地域間連携(エネルギーを通じた持続可能社会実現)
  • 既存電力会社のエネルギー構造(ブラックボックス)の透明化(分散型エネルギーへのシフト)

 

基調講演『再生可能エネルギー及び省エネルギーを巡るドイツ及び世界の動向』

ピーター・へニケ教授 ブッパタール気候・環境・エネルギー研究所 シニアアドバイザー

ポイント
  • 日本の太陽光発電コストは高い(アブダビの1.17GW『JinKo×丸紅』では2.42¢≒2.62円/kWh)
  • 国際的には太陽光発電よりも風力発電の比率が多い
  • 現在のところ、一次消費エネルギー量は50%程度削減可能であり、再エネ比率は55~80%まで引き上げが可能
  • コストパフォーマンスが良く、発電コストが上がる可能性の少ない再エネ導入で、現代の資産を後世に残すことが可能だが投資回収期間が長い
    ※現役世代では回収出来ずに、後世で投資回収をしメリットが生まれる可能性がある
  • 将来的には、ベースロード(集中型)電源を持たなくなり、フレキシブルな分散型電源へ転換する(蓄電が必要となる)
  • 熱やガスコージェネレーションシステムとの共有も視野に入れる必要がある
  • 日本のPPS(新電力)市場はガス・フューエル・モバイル系が大半を占めている
  • ドイツでは80%近くの国民が再エネ転換に賛成しているが、導入コストが高い障害がある(より積極な国民参加が必要)
  • ガス発電の高効率化だけでも、分散型電源は安定する
  • GDP(国内総生産≒所得)の上昇=生活満足度ではなく、住民がどの様なスタイルを望んでいるのかを話合う必要がある
  • 1人あたりのエネルギー消費量はドイツの方が20%程度低いが、交通に関しては日本の方が30%程度低い(国によって問題点は異なる)
  • 集中型電源よりも分散型(再エネ)電源の方が、他国へ導入しやすい(スキームが転用しやすい)

 


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