【レポート】地域再生可能エネルギー国際会議2017(2017年9月7日~8日 @長野市)


パラレルセッション1 A:地域エネルギー会社の役割

※B:市民電力・市民参加による取組については、『各セッションからの成果報告』をご覧ください。

  • 磯部 達 みやまスマートエネルギー株式会社 代表取締役社長
  • ゼーレン・ヒューゲル ブッパタール都市公社 戦略開発部長
  • 青山 英明 株式会社まち未来製作所 代表取締役
  • 北橋 みどり 公益財団法人 東京都環境公社 東京都地球温暖化防止活動推進センター
  • 稲垣 憲治 京都大学 プロジェクト研究員
  • 大石 英司 みんな電力株式会社 代表取締役
  • 干臺 俊 長野県 企業局電気事業課長
  • 原 正樹 湘南電力株式会社 代表取締役社長
導入

再生可能エネルギーの地産地消を地域活性化につなげるには『地域エネルギー会社』の役割が大切で、ドイツではStadtwerke(シュタットベルケ)と呼ばれる自治体出資の地域エネルギー会社が900以上存在し、電力小売りの50%程度を占めています。日本でも現在20社ほどの地域エネルギー会社が立ち上がっています。
地域エネルギー会社がどの様に地域活性化に貢献できるか、自治体出資の意義やノウハウの共有をします。

ポイント

シュタットベルケとは、地域内の再エネ電力を地域内供給(自給自足)と生活インフラ(公共サービス)を行う地域密着型事業体のこと
⇒ドイツでは、エネルギー供給で利益を生み出し、投資や公共サービスの質を維持・高めている

シュタットベルケのブッパタールは、地域で最大の事業(雇用)主です
⇒例えば、バスのドライバーが体を壊した時は、別部門への配置転換により仕事の継続が行えます
⇒働きながらの教育制度(教育への投資)も評価されている要素です
⇒地域に対して、経済だけでなく、文化(フットボールクラブ等)へ投資をしている

まち未来製作所では、小規模な自治体でマイクログリッド(エネルギーの自給自足を目指す、小規模のネットワーク)を構築している
⇒エネルギーの自給自足が収益のベースで、マイクログリッドなら電気代の20%を占めている託送料金を削減できる
⇒ただし、地域電力は連携していかないと、事業規模が小さく展開が難しい側面がある
⇒地域間連携を行えば、規模が大きくなるだけでなく、地域特性によるエネルギーのベストミックスにより電力が安定する

日本の自治体出資型PPS(新電力)について
⇒自治体出資額のボリュームゾーンは数百万程度と少額で、外部からの出資比率が多いが利益が少ないので、地域から出資を募る必要がある
⇒需給管理の外部委託で雇用を創出しておらず、利益が少額であるが、ITの進歩により需給管理は自前で出来る体制は作れ利益も大幅に上がる
⇒利益から再エネへの再投資が重要で、地域単独では利益がほぼ生まれないが地域間連携により利益が生まれる
⇒地域住民がどういった地域にしたいのか、コンセプトをしっかりと練る事が重要

みんな電力は『顔が見える電力』がコンセプト(コンセントの先には、誰かが居る・何かしらの電力に繋がっている)
⇒発電事業者を応援できるシステム(基本料金の一部が応援先に還元される)、ふるさと納税のイメージ
⇒需給管理はITの進歩により、管理コストが大幅に削減出来る様になった
⇒発電所の見学ツアー等のイベントを通じて、電力教育を行い興味を持ってもらうことが大切
⇒PPS(新電力)の初期導入者は低価格派とこだわり派が先行しているが、堅実層と無関心層をどのように掘り起こすかが重要

長野県では電力を通じた、郊外と都市部の交流(物産・観光アピール)をしている
⇒湘南電力を通じ、小田原市の教育機関へ電力を供給している
⇒福島原子力発電所の事故により、住民が再エネの必要性を認識した
⇒ベースロードの電気代が上がれば、地域電力の収益幅は増える

湘南電力では、電気代の1%を地元へ還元している(小田原市民の電気代は3,000億円なので、1%でも30億円は地元に残る)
⇒都市部の企業へ利益を奪われている点を市民に認識させる必要がある
⇒少子高齢化(人口減少)及び省エネ化により、ガス会社の利益は年々減少傾向である
 地元大手の都市ガスとLPガス会社の協業が効果的(民間インフラ企業の既存顧客との結びつきが強い)

まとめ
  • ドイツでは電力会社の切替は2クリックで完了するが、シュタットベルケは地域の70%のシェアを得ており信頼関係が出来ている
    ⇒自治体と住民は運命共同体(良い時も・悪い時も)だということを認識している
  • まずはスモールスタートから、徐々に拡大及び連携をしていく方が良い
  • 人口減少問題(税収減少)の解決策として、地域電力ビジネスが有効

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