太陽光発電の無償・無料設置とは?屋根貸しとソーラーPPAの違い


近年、再生可能エネルギーの旗振り役でもある、太陽光発電の無償・無料設置が増えてきています。そこで今回は、補助金無しの再エネ導入の本格化を迎えたビジネスモデルをご紹介します。

なぜ再生可能エネルギーを導入しないといけないのか?

本題に入る前に…… なぜ再生可能エネルギーを導入しないといけないのでしょうか?
一般的には、パリ協定などに基づく地球温暖化防止(脱炭素社会)実現のためといわれています。
あまりピンとこないですよね……
日本で暮らす私たちには本当に必要なのでしょうか?その答えは、『必要』なのです。なぜかというと……

【理由1】
私たちの生活には電気が必要不可欠なのはお分かりだと思いますが、そのほとんどは海外で作られた化石燃料からつくられています。平均80年近い人生で、私たちは毎月当たり前のように電気代を支払っています。これが、10年~20年目以降の電気を私たち自身が所有する太陽光発電でほとんど賄えるとしたらどう思いますか?答えは簡単ですよね。

【理由2】
私たちが暮らすこの日本は、さまざまな歴史や多彩な文化と、自然豊かな四季折々の姿が海外からも高い評価を得ており、観光客も増加しています。しかし一方では、多くの活火山を有する地震発生が多い国でもあり、国民だけでなく観光客などについても非常時の対応が求められていますが、多くの避難所には未だ非常電源が整備されていません。パソコンやスマートフォンといった、高度な情報処理・通信が行える機器の電源確保はどうするのでしょうか?そんな中、避難所に非常電源ともなる太陽光発電が、無償・無料で設置できるとなれば、設置しない理由は無いですよね。

【理由3】
日本の主要産業の代表格でもある自動車産業ですが、欧米をはじめ、中国・インドといった、世界でもトップクラスの消費者が多い国が、EV・PHEVといった電動車輌へのシフトへ向かっています。日本が推し進める燃料電池車(FCV)用の水素インフラ構築には、国内でも数十年単位でかかり、国際レベルでの普及はさらに後になることでしょう。国内の企業や労働を安定させるには、電動シフトが必要であり、国内最大手のトヨタ自動車も動き出しました。
電気の消費は今後も増加します。老朽化と避難計画を含めた安全性の問題により動かせない原発と、世界の流れから生産が縮小し、年々上昇傾向の化石燃料といったように、日本国内のエネルギー事情は転換期を迎えています。自国の産業と生活を安定させるには、エネルギーの本格的な自給率向上が必要になってきています。
2018年度の予算案で、県内にルノー・日産系列の三菱自動車の関連企業が多く集まっている岡山県では、EVシフトに対して関連企業および空白地域などの充電環境が整っていない地域への充電設備導入補助を打ち出しています。東京都では、集合住宅や自治体施設への充電設備導入補助と、37台規模でEV導入および電動バイク購入補助や、災害時の移動手段に自転車整備補助もあがっており、また、再エネ由来(非化石証明された)電気の公共施設への導入促進をはかっています。

 

太陽光発電の無償・無料設置とは?

再エネの固定価格買取制度(FIT法)において、太陽光発電による発電電力の買取単価が年々下がり、その影響もあってか、新規導入件数が減少しており、なかには倒産せざるを得なくなった企業もあります。
再エネの買取単価は発電設備の導入・運用コストに合わせて設定されており、2018年度には10kW未満は42円⇒26円/28円、10kW以上は40円⇒18円へと半分以下になる見込みもありますが、これは買取期間内で初期投資と運用コストが十分に回収できる条件で算出されています。それだけ初期投資に必要なコストが下がっているということです。
太陽光発電の導入を阻害している要因としては、買取価格が下がったことだけではありません。例えば……

  1. 積雪や日射量(影を含む)によって、導入しても元を取れない可能性がある
  2. 設置面積が狭かったり、建物強度や土壌が緩い
  3. 設置費用が高額で捻出できない

ということが一般的に挙げられますが、3.に対しては初期費用の低減により、『屋根貸し』や『ソーラーPPA』と言われる、新たなビジネスモデルが登場しました。

 

屋根貸しとソーラーPPAの違いは?

各社とも少しずつ違いはあるものの、基本的な内容とメリット・デメリットを挙げてみました。

屋根貸しとは

屋根貸しとは、他人が所有する建物の屋根に対して太陽光発電を設置し、売電のみで投資回収するものです。
基本的な内容は、

  • 発電設備は10kW以上
  • 契約・事業期間は20年間
  • 配線方式は全量配線
屋根貸しのメリット
  1. 建物の所有者は長期間に渡り、利用面積に応じた使用料を受け取ることができる
  2. 全量配線なので、連系協議も比較的スムーズに進めることができる
  3. 電力会社との契約変更が不要
屋根貸しのデメリット
  1. 契約・事業終了後に無償譲渡となった場合に、余剰配線へ配線方法を変更する工事が必要
  2. 契約・事業終了後に撤去となった場合に、屋根材によっては穴埋めにより見た目が悪くなる
  3. 使用料はおおむね年間100円/㎡と、所有者メリットは多くはない
屋根貸しの主な事業者

・柴田工業「学校への太陽光無償設置プロジェクト」
・エコスタイル「屋根貸し太陽光発電」

ソーラーPPAとは

ソーラーPPAとは、FIT制度が無いアメリカにおいて太陽光発電が普及したビジネスモデルです。EVメーカーで有名なイーロン・マスク氏のTesla(テスラ)が買収したSolar City(ソーラーシティ)に代表され、日本語に直すと『第三者保有型太陽光発電電力販売事業』と言い、通常は(ソーラー)PPAと呼ばれています。銀行やリース会社などに代表される第三者からソーラーPPA事業者が資金調達を行い、電力消費者の施設へ太陽光発電設備を設置し、当該設備が発電中の電力のうち電力消費者が自家消費した電力分のみをソーラーPPA事業者が電力販売を行い初期投資を回収するので、電力購入契約(Power Purchase Agreement:PPA)と呼ばれます。
基本的な内容は、

  • 電力契約が低圧の施設で、発電設備は50kW未満
  • 契約・事業期間は10年間
  • 配線方式は余剰配線
ソーラーPPAのメリット
  1. 発電電力のうち、消費者が消費した電力のみを定額買取り(燃料代や再エネ賦課金の変動や上乗せが無い)
  2. 無償譲渡後でも、配線方式の変更工事が不要
  3. 10年後に無償譲渡するので、15年(出力保証:25年)以上も電気代削減と売電が可能
ソーラーPPAのデメリット
  1. 10年間の消費電力分の買取単価が少し割高になる場合がある
  2. 電力消費者の経済的メリットが出るには、10年目以降からになる
  3. 10年後のパワーコンディショナ修理を含むメンテナンスを消費者が管理する必要がある
ソーラーPPAの主な事業者

・デンカシンキ・坊ちゃん電力「フリーソーラープロジェクト」
・日本エコシステム「じぶん電力」
・HTB(ハウステンボス)「HOME太陽光でんき」
・ファブスコ「Solar PPA」

 

太陽光発電は本当に地球に優しいのか?

太陽光発電に対して、さまざまな意見があるようです。例えば……

  1. 太陽光パネルの生産時にも温室効果ガス(Co2など)を排出するから環境に優しくないのでは?
  2. 天候に左右され、出力変動が電力系統を不安定化させるのでは?
  3. 発電事業が終了した際に、太陽電池モジュール(通称:パネル)が廃棄され、環境負荷が大きいのでは?

それぞれの項目について、将来展望を予測してみました。

1.太陽光パネルの生産時にも温室効果ガス(Co2など)を排出するから環境に優しくないのでは?

確かにこの指摘は正しいですが、従来の発電方式でも化石燃料由来の燃料を使用してるので、温室効果ガスを全く無くすとなると、電気を一切使用しない、全ての工業製品を使わない自給自足の生活へ逆戻りすることになってしまいます……
論点がずれてしまいましたが、太陽光パネルメーカーの出力保証は25年~30年が一般的で、一定条件下での出力が定格出力の70%~80%程度以下になったら交換するという保証内容です。言い換えれば、25年~30年後でも定格出力の70%~80%程度はまだ出力できるということです。ということは、再度初期投資をかけて、高効率・低コスト化が進んだパネルへ交換するのも1つ、劣化状態を見て、入力する直列数を増やしてそのまま使うのもまた1つの手段です。

2.天候に左右され出力変動が電力系統を不安定化させるのでは?

将来的にはこの問題が大きくなることでしょう。なぜ「将来的」かというと、そもそも現時点での日本の再エネ比率はわずか数%しかないからです。今後数年で太陽光発電は本格的な導入時期を迎えたときに、この問題が起こるはずですが、同時にEVシフトに伴う高性能な大型蓄電池の大量導入が進むことで緩和されるはずで、すでにEVに使われていた、使用済み蓄電池の再生・再利用技術も高まってきています。
それよりも、近年問題になってきているのが、既存の大手電力会社による電力系統の空き容量限界を見せかけている問題で、電力融通や直流送電など、新しい概念へ進めようと動き出しています。

3.発電事業が終了した際に大量の太陽電池モジュール(通称:パネル)が破棄され環境負荷が大きいのでは?

1.の最後に再投資を行い、既設のパネルを交換する際に大量廃棄される問題が起きますが、すでに太陽光パネルのリサイクル技術は高いレベルまで進んでおり、リサイクル率95%へきています。
また、発電性能が劣化していても、まだ使える場合は中古品として発展途上国へ安価で提供することもできます。

 

最後に

本記事でご紹介したこともありますが、世界の流れではCo2排出削減が出来ない企業に対して取引停止やCo2排出量取引といった、新たな価値・市場がビジネスシーンへ登場し始めており、特に製造業への影響は大きいです。国家や地方自治体レベルでも、いずれはCo2排出量取引の流れに巻き込まれ、低炭素化できないとペナルティが生まれることになるでしょう。今すぐの再エネ導入こそ、リターン(利益)が大きい時代になってきているように思います。

 


 

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