【次世代エネルギーインフラ講座】低炭素社会に向けた、日本国内外の動向(2018年春)


日本の取組み内容

まず初めに、環境省 環境配慮契約法説明会の内容をご紹介します。

地球温暖化対策計画・政府実行計画

パリ協定を受け、日本国の「地球温暖化対策計画・政府実行計画」が、2016年5月13日に閣議決定。

「地球温暖化対策計画」
2013年度比で2030年度の温室効果ガスを26%削減、2050年度80%削減を目標

  • 徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入
  • 電力業界全体の取組みの実効性の確保(自主的枠組みと政策的対応)
  • 国民運動の推進(危機意識の浸透、「COOL CHOICE」の推進等)

「政府実行計画」
2013年度比で2020年度の温室効果ガスを10%削減、2030年度40%削減を目標

  • 大規模庁舎から順次、省エネルギー診断の実施、診断結果に基づく運用改善及び対策導入
  • 大規模な庁舎を中心に、ビルのエネルギー管理システム(BEMS)の導入等により、エネルギー消費の見える化及び最適化
  • LED照明、次世代自動車の率先導入
  • 太陽光発電の導入に係る整備計画の策定等、太陽熱、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギーの計画的な有効利用
  • 環境配慮契約法の基本方針に則り、温室効果ガス排出係数の低い小売電気事業者を選択

「基準(2013)年度における温室効果ガス排出量」

  • 電気使用:837千トンCo2(47.3%)
  • 公用車:54千トンCo2(3.1%)
  • エネルギー使用:265千トンCo2(15.0%)
  • 船舶:480千トンCo2(27.1%)
  • その他:133千トンCo2(7.5%)
環境配慮契約法の概要

「国や地方公共団体等の公共機関」が「契約」を結ぶ場合に、

  • 「一定の競争性」を確保しつつ
  • 「価格に加えて環境性能」を含めて評価して
  • 「最善の環境性能」を有する製品・サービスを供給する者を契約相手とする

仕組みを「制度的」につくることで、

  • 国などによる「環境負担(温室効果ガスなどの排出)の削減」
  • 「環境負担の少ない持続可能な社会の構築」

「環境配慮契約の契約類型」(対象項目)

  • 電力の購入
  • 自動車の購入及び賃貸借
  • 船舶の調達
  • ESCO事業
  • 建築計画
  • 産業廃棄物処理

「性格」
契約類型ごとに総合評価落札方式、プロポーザル方式など推奨する入札・契約方式などを規定

「趣旨」
価格等を含め総合的に評価して、最前の環境性能を有する物品・サービスの調達

電力の供給を受ける契約(電力の購入)

【基本的な考え方】

  • 温室効果ガスの排出係数(二酸化炭素排出係数)の低い小売電気事業者との契約に努める
  • 電源構成などの情報を開示している小売電気事業者の二酸化炭素排出係数、環境負担低減に関する取組み状況により評価する「裾切り方式」を採用
  • 原則複数の小売電気事業者の参入が可能な裾切り基準を設定
  • 裾切り基準は毎年度見直しを検討

【裾切り方式】
電源構成および二酸化炭素排出係数を開示しており、前年度の下記要素に関する実績を点数制で評価し、70点以上の小売電気事業者に入札参加資格を付与。

二酸化炭素排出係数(70点程度)
未利用エネルギーの活用状況(10点程度)
再生可能エネルギーの導入状況(20点程度)

グリーン電力証書の譲渡予定量(10点程度)
省エネルギー・節電に関する情報提供(5点程度)

 

【参考】一般送配電業者の供給区域別 小売電気事業者参入状況
平成29年度環境配慮契約法基本方針説明会資料(平成30年2月)より転記

 

上記表の通り、PPS:特定規模電気事業者(新電力)の二酸化炭素排出係数が低いことから、料金だけでなく、環境配慮契約法の評価方式により新電力(PPS)へ切り替えることが増えており、裏を返せば、一般電気事業者(既存の大手電力会社)は再エネ等の導入を加速させないと小売からの撤退と発送電分離により事業規模を縮小せざるを得ない状況に陥る。

【参考】グリーン電力証書とは

風力、太陽光、バイオマス等の再生可能エネルギーの「グリーン電力価値」を証明したもので、電力そのものに加えて「環境負担が少ない」という付加価値を市場にて取引できるようにした制度で、電力と同時にグリーン電力証書を購入することで、再エネ発電事業者は利益を得ることができ、購入した電力需要家は再エネを導入せずとも再エネ電力を利用していることを証明できるもの。

 

また、2018年5月からは、「非化石証明書」の取引が開始される予定であるが、前述の「クリーン電力証書」や「J-クレジット」との違いは、固定価格買取制度(FIT法)の認定を受けて、運転中の発電設備の電力に対しても同様の付加価値を取引できるようになるもので、将来的には環境配慮契約法の評価基準や、RE100達成要件に組み込まれる可能性がある。

このことから、再エネ設備を保有していれば、FIT売電期間内・終了後でも、付加価値を付けることができ、非化石証明の付加価値によって生まれた売り上げにより、再エネ賦課金の増大を低減できる
よって、生活・経済・産業を安定化させるには、更なる再生エネルギーの導入が必須となってくる。

 

最後に、経済産業省・環境省・国土交通省 ZEH等3省連携合同説明会の内容をご紹介します。

各省の役割としては上記の通り、「今までのZEH:環境省」「ワンランク上のZEH:経済産業省」「ハイレベルなLCCM住宅 + 中小工務店連携のグリーン化事業:国土交通省」と分かれますが、省エネ性能表示は「BELS」を使用することで統一されている。

LCCM住宅とは

「LCCM住宅(Life Cycle Carbon Minus:ライフサイクルカーボンマイナス)」とは、建築資材の生産~建築~解体・処分までの全てのライフサイクルにおいて発生するCo2排出量をさまざまな先進技術を用いてマイナス(相殺)となるように建築する住宅のことを指す。
※太陽光発電システムの製造時のCo2排出量はPBT(ペイバックタイム)を3年とみなされる。
⇒太陽光発電システムの製造時のCo2排出量を3年間の削減量とみなすということ。

ZEH-Mとは

「ZEH-M(ゼッチエム)」とは、集合住宅向けで、5階建てまでを環境省、6階建て以上を経済産業省が補助する。
5階建てまで:70万円/戸×全戸数(上限3億円/年、6億円/事業)、蓄電:3万円/kWh(30万円/戸または1/3)
6階建て以上:補助対象経費の2/3(上限5億円/年、10億円/事業)、再エネ導入は要件に含まれず

+ZEHとは

「+ZEH(プラスゼッチ)」とは、ワンランク上のZEHで、補助率が70万円/戸⇒115万円/戸、蓄電:3万円/kWh(上限30万円⇒45万円または1/3)
一次エネルギー消費量削減率:再エネを除き20%⇒25%と、さらなる省エネ・高性能化されたもの。

以下の3つの要件のうち、2つを追加選択する必要がある。

  • 外皮性能(UA値)の更なる強化
  • 高度エネルギーマネジメント(ECHONET Lite AIF認証機器の導入)
  • 電気自動車を活用した自家消費の拡大措置(200V以上での充電または充放電設備の設置を想定)

 



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